「女性と子どものための避難所運営」母子避難所の構築とは

去る9月30日、「太宰府市障がい者等災害時要支援者対策協議会」の主催で防災教室を開催しました。当協議会ではこれまで障がい者に関する防災対策をテーマに取り上げてまいりましたが、今回は視点を変え、障がい者と同じように災害時に困難を抱えている「女性と子ども」に焦点を当てて女性と子どものための避難所運営」と題して議論しました。

 これまでこのようなテーマで話を聞いたことがないため、講師を探すのに苦労しましたが、市内にこの問題を真剣に考えていた方が見つかり早速お願いしました。

 第1部の講演では二人の先生からお話を伺いました。

まず筑紫女学園大の大西良准教授による「災害時における母子避難所の現状と課題」の話を聞きました。大西先生は九州北部豪雨災害時(平成29年)に東峰村へ災害支援に行った際仮設住宅でのボランティア活動を通じて女性や子どもの困ったことを目のあたりにして、筑女の校内で災害時に備え「母子避難所」の運営ができるようハード面・ソフト面での準備をしてきたそうです。


 続いて西九州大学の岡部由紀夫准教授による「被災地における住民との関りと支援の実際」の話をお聞きしました。先生も九州北部大雨災害(令和5年)などでの実際の災害ボランティアを通じて「被災地における子供の居場所づくりー子供の遊び場」の必要性を痛感、また白石町での災害時(令和3年)には「洗濯代行ボランティア」をして喜ばれたことなどから、災害ボランティアでは必ずしも専門知識は必要ない、との教訓を得た、とのお話がありました。


 第2部では市内の専門家に参加してもらいパネルディスカッションに移りました。

 まず、「エルロン筑紫野(株」)の高田弘子社長(臨床心理士)から発達障がい児・者が避難所ではストレスや光に弱い、行動コントロールができないためパニック状態になりやすい、などの専門的なご意見をいただいた他、保護者は受け身では家族を守れないので保護者の自立支援が必要、避難所周辺に昼間の遊び場が必要、などの提言がありました。


 「ゆるボラポーレ」の音成直子代表(防災士)から、災害時にはできるだけ早く避難所に行けば乳幼児や女性のスペースを確保しやすい、女性が避難所の運営に関われば女性の要望を実現してもらえる、避難所に行くための一斉訓練を毎年やってほしい、との提言がありました。


 「かたって、つないで」の芳野絵理佳代表(防災士)からは、避難所では管理者は女性などの脆弱性と対応能力に配慮の上運営してほしい、避難者の生活維持のための生活必需品のニーズは男女の違いに配慮してほしい、そのためには避難所運営に女性が積極的に参画してほしい、避難所には授乳室、男女別のトイレ、物干し場、更衣室が必要、との提言がありました。


 最後に太宰府市役所の竹崎雄一郎防災安全課長から避難所運営についての話を伺いました。

 短い時間でしたが、避難所を女性や子どもが安心して過ごせる場にするためには

①女性が積極的に避難所運営に参画する、
②自治会などのリーダに女性が過ごしやすい避難所の要件などを知ってもらう、
③避難所運営には毎日の情報共有と、男女平等の役割分担をする、

事などが必要なことがわかりました。

パネラーの方の声に真剣に耳を傾けていただいた参加者の皆さんに感謝します。